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地域医療の真ん中に

DOCTOR'S INTERVIEW

「がん」の外来化学療法

岩月 克之 整形外科外来部長

左から中王子看護師(通院治療センター看護課長)、
平賀医師(通院治療センター長)、榊原薬剤師(化学療法係長)

2025年8月、当院の「通院治療センター」が20床から30床に拡張されました。「通院治療センター」は、「がん」治療を中心に副作用を伴う化学療法を外来で受けられる施設です。かつて入院治療が基本だった「がん」の化学療法ですが、今では医学の進歩により、日常生活を維持しながら治療に専念できる環境が整ってきました。
当院の「通院治療センター」はアメニティ環境も充実しており、化学療法に精通した医師・看護師・薬剤師による多職種連携のもと、患者さんが安心・安全に治療を受けられるよう、サポート体制の構築に努めております。

増加の一途をたどる「外来化学療法」

近年、がんの治療に欠かせない化学療法は、新規抗がん剤による選択肢の広がりに加え、副作用の緩和や白血球を増やして感染症を予防するといった「支持療法」の充実により治療の選択肢が多様化してきました。
さらに、丸2日間など長時間の継続投与が必要な抗がん剤の点滴治療も携行用の医療ポンプができたことで、外来での治療後に自宅で治療を継続できるようになりました。
このように化学療法と医療機器の進展により、入院せずとも通常の生活や仕事を続け、家族と自宅で過ごす時間を大切にしながらがんの治療に専念できるのが「外来化学療法」です。
国指定の「地域がん診療連携拠点病院」として西三河北部のがん患者さんの治療を担う当院では、「通院治療センター」を通して早くから外来化学療法に取り組んでおり、利用される患者さんは年々増加の一途をたどっています。

当院における化学療法件数

当院における化学療法件数

多職種連携で対応する安全・安心体制

当院の「通院治療センター」には3名の日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医※1、1名の日本看護協会認定がん薬物療法看護認定看護師※2を含む15名の看護師、3名の日本医療薬学会認定がん専門薬剤師※3を含む薬剤師が所属しています。
抗がん剤投与を受ける患者さんに対しては、自宅でどのような副作用が出現し、自分自身でどのようにケアをされていたのかを伺う「診察前問診」を看護師が実施。医師と情報を共有することで、医師が副作用についての状況を把握しながら効率的に診察を行うことができます。さらに、副作用の状況によっては、薬剤師と連携して主治医と内服薬の調整を行うなど、多職種連携による診療体制を確立。自宅で急な体調不良となったときのための電話相談にも対応し、緊急時には主治医と当番医が連携しながら救急外来での対応もできるよう、安心・安全第一の体制で患者さんの通院治療をサポートしています。

※1. 日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医:質の高いがん薬物療法を実現するために、幅広い臓器のがん薬物療法の知識と技術を持った専門医
※2. 日本看護協会認定がん薬物療法看護認定看護師:抗がん剤治療を受ける患者さんが安全に治療を進められるよう、投与管理や副作用の緩和
※3. 日本医療薬学会認定がん専門薬剤師:がん領域の化学療法に関する高度な知識と技能を持つことが認められた認定資格

主な治療の流れ

日進月歩の「がん治療」で「がんと生きる」時代に

日本では2人に1人が生涯に1度はがんにかかるとされています。かつては不治の病のイメージが強かったがんですが、現在、がん全体の5年生存率は60%を超え、がんの種類によっては完治も可能になってきました。
一方で、抗がん剤を用いた「化学療法」は治療が長期・複数回に及ぶ場合が多く、副作用の管理を含め入院治療が基本となっていました。しかし、近年は副作用に対応する「支持療法」の進展により、自宅での生活や仕事とがん治療が両立できるようになってきました。当院の「通院治療センター」は、そうした治療を支える拠点です。
地域にお住いのがん患者さんの社会生活と治療の両立に向けて、当院の「通院治療センター」がサポートいたします。ご希望に応じて治療のご相談をお受けいたしますので、ご遠慮なくお申し出ください。