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地域医療の真ん中に

DOCTOR'S INTERVIEW

脊柱側湾症(せきちゅうそくわんしょう)の外科的治療

2017 年7 月より当院の整形外科に脊椎外科専門の医師が赴任しました。これにより「脊柱側湾症」に対して新たに外科治療が行えるようになりました。

「脊柱側湾症」ってどんな病気?

せぼねは脊椎という骨が柱のようにつながってできており、これを「脊柱」と呼びます。正常な脊柱の形は、横から見ると脊椎(首の部分)は前に、胸椎(背中の部分)は後ろに、また腰椎(腰の部分)は前に向かって緩やかに曲がっていますが、正面からは真っ直ぐに見えます (図1)。

側弯症とは、この脊柱が正面から見たときに横方向に曲がり捻れている状態のことを言います(図2)。

このように書くと非常に特別な病気と思われるかもしれませんが、決して珍しいものではありません。程度の軽いものを含めると、50人に1人が側弯症であると言われています。また、この病気はあらゆる年齢層に見られますが、子供たちと成人、高齢者では病気の成り立ちや治療が大きく異なります。

何が原因なの?

側弯症の大部分を占めるのは「特発性側弯症」と呼ばれるものになりますが、その発症原因は未だ明らかになっていません。ただ最近の研究では、特発性側弯症には遺伝的な要素があることが分かってきています。側弯症と診断されたら兄弟姉妹も注意した方が良いでしょう。

治療の選択肢は?

乳幼児期に発症するものや、非常に曲がりの強い側弯症でなければ命に関わる病気ではありません。しかし、ある程度以上の側弯を放置しておくと、将来的に背中や腰の痛み、脚のしびれなどが出現し、日常生活が困難になることもあります。
ごく軽度のものは治療の必要はありません。ある程度以上に曲がっており、かつ成長期であればギプスやコルセットによる治療を行います。コルセットによる治療は脊柱が成長する間続きます。側弯がある限界を超えて曲がってくると、例え成長期が終わっても曲がりが進行してしまうため手術適応となります。また、高齢者の側弯症は痛みを伴うため、薬やリハビリテーションで改善がない場合、手術適応となります。

「外科的治療」ってなに?

外科的治療とは手術による治療のことです。手術は全身麻酔で行います。脊柱を露出し、スクリューなどのインプラントを入れてできるだけ真っ直ぐに治します(図3)。脊柱には脊髄と呼ばれる神経が入っているため、注意しながら手術します。大きな手術ですが、術中には脊髄の機能をモニタリングすることで麻痺を防ぎ、より安全に行えるようになっています。