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あざ(母斑)のレーザー治療
形成外科 代表部長 川端 明子
皮膚の細胞の異常で、色が赤や青、茶になったり、隆起したりするのが「あざ(母斑)」です。健康上の問題はほとんどありませんが、中には年齢に伴い拡大し色が濃くなるものもあり、目立つところにある場合は、幼児期に治療を受けることが望まれます。
当院では青あざ・茶あざの「レーザー治療」を行ってきましたが、新たなレーザー機器の導入により「赤あざ」の治療も開始しました。今後は全般的な「あざ(母斑)」の「レーザー治療」が提供できます。
「青あざ」「茶あざ」のレーザー治療
打撲などにより皮膚が青紫色に変色する皮下出血は、いずれ消えることが多いものですが、「メラニン」と呼ばれる色素が原因でできた「青あざ」「茶あざ」は、消えずに残ることもあります。青、茶と色が異なるのは、メラニン色素を含んだ細胞が、皮膚の深くか表皮に近いところに発生しているかの違いで原因は同じです。
青あざ・茶あざは「レーザー治療」でメラニンを破壊するというもので、以下のものは保険適用で治療が受けられます。
太田母斑(おおたぼはん)
POINT
- ●主に生後すぐか思春期以降に現れる
- ●おでこから目のまわり、頬、上唇の周囲に点状で現われる
- ●自然に消えることはない
- ●目の白目が青くなることもあるが、これは治療が困難
異所性蒙古斑(いしょせいもうこはん)
POINT
- ●お尻以外のところにできる「青あざ」
- ●自然に消える可能性は低い
「赤あざ(血管腫)」のレーザー治療
一般に「赤あざ」と呼ばれるものは、血管が拡張したり増殖する異常により、血液の赤い色素の元「ヘモグロビン」の影響で皮膚が赤くなります。
「赤あざ」の治療は種類に応じて異なりますが、当院では血管腫用のレーザー機器を新たに導入し、保険適用で赤あざのレーザー治療を開始しました。対象となる「赤あざ」は以下のとおりです。
医療用レーザー機器 Vbeam
単純性血管腫(平坦な赤あざ)
ただし、顔の真ん中周辺にできる「サーモンパッチ」は消える傾向があるため、経過を見るという選択もあります。また、顔にある大きな「単純性血管腫」の中には、目や脳に異常を来す病気の場合もあるので、赤ちゃんに赤あざがあった場合は、早めに形成外科医に相談してください。
POINT
- ●表面が平坦な「赤あざ」で、出生時にはすでにある
- ●成長に伴い大きくなり、色が濃くなることもある
- ●自然に消えることは少ない
- ●大きくなる前の治療開始が好ましい
乳児血管腫(いちご状血管腫)
POINT
- ●表面が盛り上がる「赤あざ」
- ●生後するに現れ1 歳頃まで大きくなり続ける
- ●大きくなった後はゆっくり小さくなっていく
毛細血管拡張症(あから顔)
「レーザー治療」 Q&A
Q レーザー治療は、痛くないですか?
A「痛み」への対応はしっかりします。
一定の波長のレーザー光が皮膚に照射されると、ゴムで弾かれたような痛みがはしります。そのためレーザー治療では、塗り薬タイプの麻酔剤を用いています。また、今回当院で導入した「赤あざ(血管腫)」治療用のレーザー機器は、レーザーを照射する直前にマイナス26℃の寒剤を吹きつけることで表皮を保護するので、ほとんど痛みは感じません。
Q 形成外科のレーザー治療は、全て保険適用ですか?
A アンチエイジングのレーザー治療も自由診療で行っています。
当院の形成外科では、保険適用のあざ(母斑)治療以外にも、レーザー治療を行っています。近年ではアンチエイジングに対する意識の高まりから、「シミ・シワ」の治療を自由診療で行っています。形成外科医は、「乳房再建」のような外科の治療にも優れた技術を要しているので、見た目の満足度を高める点でも高い技術を発揮できます。
Q レーザー治療の費用は高額ですか?
A 治療前に費用について確認してください。
あざ治療の場合はあざの面積で費用が異なりますが、およそ20,000円〜4,0000円の額が、保険適用の場合に保険種別で実際の支払い金額が0〜3割となります。
自由診療の「シミ・シワ」の治療では、1回あたり20,000円程度が実費となり、回数に応じて加算されます。
一般の病気の治療で診療時に費用について聞くことはないと思いますが、レーザー治療については最初に費用を確認することが、納得できる治療を受けるためにも大切です。
Q 美容外科と形成外科、皮膚科では何がちがいますか?
A「美容」は「自由診療」が中心、「外科」は手術治療を行う診療科です。
「美容」が付く診療科は基本的に「自由診療」の施術を行っている診療科です。また、一般的に「皮膚科」は薬物治療が中心となるのに対して、「形成外科」はレーザー治療も含め手術など外科的な治療が主となります。
当院の形成外科は、保険適用のあざのレーザー治療から「シミ・シワ」の自由診療まで幅広く担当しており、必要に応じて皮膚科や小児科とも連携できる総合病院ならではの体制を取っています。