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ハイブリッド手術室~大動脈弁狭窄症の低侵襲治療「TAVI(タビ)」~
循環器内科CCU部長 兼 医療安全管理部医療安全管理室長 大橋 大器(右)
循環器内科病棟医長 畳 陽祐(左)
当院では「ハブリッド手術室」の導入とともに、2022年7月、「大動脈弁狭窄症」の治療にカテーテルで人工弁を留置する「TAVI(タビ)」を開始しました。
これにより、年齢や基礎疾患などを理由に大動脈弁狭窄症の手術が受けられなかった患者さんにも治療が提供できるようになります。今後は西三河北部医療圏で唯一「TAVI(タビ)」が受けられる医療機関として(2022.7現在)、高度で先進的な治療を通して地域の皆さまに貢献していきます。
「大動脈弁狭窄症」ってどんな病気?
心臓は4つの部屋に分かれており、その中を血液は常に一方向に流れるよう、逆流を防止するための「弁」がついています。この弁の機能が損なわれることで発症するのが「心臓弁膜症」という病気です。中でも左心室と大動脈の間にある「大動脈弁」の開きが悪くなり、心臓から十分な血液を送り出すことができなくなってしまうのが「大動脈弁狭窄症」です。
「大動脈弁狭窄症」の特徴
「大動脈弁狭窄症」という難しい名称のイメージから珍しい病気のように思われがちですが、「大動脈弁狭窄症」のリスク要因は「加齢」や高血圧、糖尿病などの「生活習慣病」であり、高齢化が進む日本では誰でもなりうる身近な病気といえます。
しかも、軽症のうちはほどんど自覚症状がなく、息切れや体のだるさ、疲れなどを感じても「歳のせい」と思い込み、無意識に行動を制限して済ましがちです。そのため、自覚がないまま進行してしまうことが多いのが、この病気の特徴です。心臓に負担がかかり続けることで、やがて激しい息切れや胸の痛み、失神や全身のむくみなどの症状が現れ、完治が困難な慢性心不全へと進行してしまいます。
手術を受けるタイミングは?
「大動脈弁狭窄症」の治療
「大動脈弁狭窄症」の治療は、軽症であれば内服薬で症状を抑えて経過を観察する選択肢もありますが、あくまで対症的な治療であるため、悪くなった弁が治るわけではありません。根本的な治療の第一選択となるのは「大動脈弁置換術」という手術療法です。
これは開胸して人工心肺装置で心肺を一時的に停止し、傷んだ弁を「人工弁」に取り替えるという手術です。全身に大きな負担がかかりますが、長い年月の中で確立された安全で確実性の高い治療法です。
最新治療「TAVI(タビ)」って?
「大動脈弁狭窄症」の治療は、軽症であれば内服薬で症状を抑えて経過を観察する選択肢もありますが、あくまで対症的な治療であるため、悪くなった弁が治るわけではありません。根本的な治療の第一選択となるのは「大動脈弁置換術」という手術療法です。
これは開胸して人工心肺装置で心肺を一時的に停止し、傷んだ弁を「人工弁」に取り替えるという手術です。全身に大きな負担がかかりますが、長い年月の中で確立された安全で確実性の高い治療法です。
こんな患者さんの選択肢になる「TAVI(タビ)」
- ◆高齢者(概ね80歳以上)
- ◆過去に開胸手術を受けた方
- ◆過去に胸部の放射線治療を受けた方
- ◆過肺気腫などの呼吸器疾患のある方
- ◆肝硬変などの肝疾患のある方
その他、基礎疾患などにより開胸手術が困難とされる方など、身体の状態と患者さんの希望を加味し、相談のうえ納得できる治療法を選択します。
「TAVI(タビ)」に必須の「ハイブリッド手術室」
TAVIが実施できるのは、「ハイブリッド手術室」に限られます。「ハイブリッド手術室」とは、手術台と心・脳血管X線撮影装置を組み合わせた高機能な手術室のことで、クリーンな環境下、カテーテルによる血管内治療が可能となります。
体に負担の少ない治療法ですが、開胸手術のように実際に狭窄した弁を見ながら確実に治療できるのと違って、遠隔操作で人工弁を留置するわけですから相応のリスクがあります。そのため、このような高機能な治療環境の整備により、リスクの低減を図っています。
日常生活の変化を見逃さず早期発見へ
「大動脈弁狭窄症」は、聴診器で心臓の音を聴くだけで異常の有無がわかり、身体的な負担の少ない「超音波検査」などの画像検査で診断ができます。発見が遅れて適切な治療のタイミングを逃さないためには、日常生活の変化を見逃さないことが何より大切です。普段の歩行や家事で「息切れ」を感じることがあれば、かかりつけ医に相談してください。「症状があるにも関わらず自覚がない」というのが、この病気の大きな特徴であることを知っていただき、早期発見につなげてください。
ご自身や家族にこんな症状があれば受診を!
- ◆階段を数段上がっただけでドキドキする
- ◆今まで大丈夫だった距離でも、歩くと息切れがする
- ◆足がむくんで靴下の跡が残るようになった
- ◆休んでいるのに疲れが取れない
その他、基礎疾患などにより開胸手術が困難とされる方など、身体の状態と患者さんの希望を加味し、相談のうえ納得できる治療法を選択します。
経大腿アプローチの例