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「冷凍凝固アブレーション」による 心房細動治療
2016 年1 月より、脳梗塞の原因にもなる不整脈の一種「心房細動」を治療する「冷凍凝固アブレーション システム(クライオバルーン)」を西三河地区で初めて導入し、治療を開始しました。
心房細動ってどんな病気?
「心房細動」とは、心臓の心房内に流れる電気信号の乱れにより起こる「不整脈」の一種です。心臓が規則正しく拍動するのは、心臓の中にある「洞結節」という部分から電気信号が出てそれが「心房」に伝わり、中継地点の「房室結節」を通って「心室」へ伝わることで心臓の筋肉を収縮させているからです。心房細動になると心房がブルブルと震えて電気信号がうまく伝わらなくなり脈が乱れます。
心房細動では血液をうまく全身に送り出せないため、心房内の血液がよどんで「血液の固まり(血栓)」ができ、それが血流に乗って全身に運ばれ血管を詰まらせてしまうことが問題となります。血栓が脳の血管に詰れば「脳梗塞」の原因となり、脳梗塞患者の約3割が心房細動によるものとされています。
心房細動を起こすと動悸や息切れなどの症状が現われる人もいますが、自覚症状がない人もいます。自覚症状がない人でも脳梗塞は起こりうるので心房細動が出てしまったらすぐに、専門医を受診するのが得策です。
日本脳卒中協会 提供
何が原因なの?
心房細動は「加齢」に伴い増加し、高齢者になるほど多く見られます。心不全や弁膜症などの心臓病をすでに持っている人も引き起こしやすくなります。他にも高血糖、高血圧、脂質異常などメタボリックシンドロームや糖尿病などの生活習慣病を発症している人、慢性腎臓病、飲酒が多い方なども心房細動を引き起こす要因とされています。
治療の選択肢は?
心房細動の治療は、血液をサラサラにする薬や脳梗塞予防薬が基本であり、不整脈を抑える
薬を服用する「薬物療法」と、血管ほどの太さの細い管(カテーテル)」を用いた「アブレーション」があります。
「アブレーション」は、足の付け根などから細い管(カテーテル)を入れて心臓の血管まで持っていき、不整脈の原因の場所を直接治療する方法です。根治が目指せて体への負担が少ない治療法として近年注目を集めています。
また、従来は不整脈を起こしている心筋を高周波電流で熱する治療(高周波アブレーション)が主流でしたが、新しい治療として風船で冷やす治療(冷凍凝固アブレーション)が開始されました。
「冷凍凝固アブレーションシステム(クライオバルーン)」ってなに?
「冷凍凝固アブレーション」のカテーテルは先端に風船が付いており、その形状により一度に治療できる範囲が広いため、治療時間の短縮が見込まれ、患者さんの負担軽減につながります。
また、高周波電流で熱する治療である高周波アブレーションの場合、治療中に体が熱くなったり痛みが出たりすることがありますが、冷凍凝固アブレーションはカテーテル操作が簡便なため、高周波アブレーションより合併症のリスクが低いことが期待されています。ただし、適応できるのは発作性心房細動で、左心房が大きすぎないことが条件となります。